柿埜真吾メルマガ:第70回〈経済学者の意見の相違〉

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◆◆救国シンクタンクメールマガジン 2024/02/25号◆◆

経済学者と言えば、論争ばかりしているイメージがあるかもしれない。メディアなどでは経済学者の対立は大げさに取り上げられがちである。学界でも、通常の理論とは異なる新しい結果を示す論文が注目を浴びることが多いので(これ自体は正当なことなのだが)、経済学者の大部分が共有している合意事項があることはともすれば見落とされがちである。

だが、実のところ、経済学者の間では、対立するよりも一致している部分の方がずっと多い。例えば、平均的な経済学者は、市場取引を一方が得をすれば他方が損をするようなゼロサムゲームではなく、互いに利益が得られる互恵的な機会ととらえるし、市場競争は技術革新をもたらし一般に消費者の利益になると考えるのが普通である。

主流派経済学者は、経済理論と実証分析を重んじる人たちである。理論的、実証的結果が明確でなく意見が分かれるテーマは確かにあるが、それはさほど多くはない。ジョゼフ・スティグリッツやポール・クルーグマンのような左派経済学者は、平均的な左派はもとより、大抵の右派の一般人よりもずっと自由競争を支持しているし、破産企業の救済等の政府介入には否定的である。同様に、グレゴリー・マンキューやスティーヴン・レヴィットのような保守派経済学者は移民や中絶に関して一般的な意見より遥かにリベラルである。

様々な政策に関する経済学者の意見については、米国経済学会会員を対象とした大規模なアンケート調査が何度か実施されているが、例えば自由貿易への支持は常に圧倒的である。2018年5月に発表されたトランプ前大統領の高関税政策への反対声明には、シカゴ大の故ロバート・ルーカス教授やユージン・ファーマ教授のようなシカゴ学派の重鎮からMITの故ロバート・ソロー教授、カリフォルニア大学バークレー校のジョージ・アカロフ教授といったケインジアンまで、党派に関係なく有力経済学者が勢ぞろいしている。経済学者の意見は一般に思われている以上に一致しているのである。

シカゴ大による米国の経済学者に対するアンケート調査では、日々の話題について経済学者の見解を調査しているが、一般には意見が対立するような多くの話題で殆どの学者の意見が一致している。例えば、ウーバーやリフトのような配車サービスがタクシーと価格競争することが消費者に利益をもたらすと考える経済学者は93%、自由貿易が恩恵を与えると考えるのは85%である。米国で大論争になっているUSスチールの日本製鉄による買収が米国経済の雇用を減らしたり打撃を与えたりすると考える経済学者は3%に過ぎない。

ちょっと変わった例を取り上げると、中絶禁止を違法とした1973年のロー対ウェイド判決を覆した最高裁の決定(2022年6月)については民主党と共和党の間で激しく意見が対立しているが、経済学者の間では「人工妊娠中絶へのアクセスを制限する法律は、特に社会経済的地位の低い世帯の女性の学歴や労働市場への参加、収入に悪影響を及ぼす可能性が高い」という意見には88%が賛成で反対はゼロである。2021年のノーベル賞受賞者のMITのヨシュア・アングリスト教授らの実証研究をはじめ、中絶が禁止された地域では、低所得者の女性が望まない妊娠で学歴や仕事のキャリアの中断を強いられていることを示す圧倒的証拠がある。シカゴ大のレヴィット教授らの研究は中絶禁止が犯罪発生率を高めることを明らかにしている。これは望まない妊娠で生まれ、家庭に問題を抱えがちな青少年は犯罪に走りやすいためではないかと考えられている。それが道徳的に善か悪か、リベラルか保守か等のイデオロギーではなく、主流派経済学者はまず実証的な証拠を重視する。経済学者はイデオロギーの違いはあっても、分析結果に関しては合意できるのである。

企業や家計等の経済主体の意思決定を扱うミクロ経済学に比べれば、経済全体を分析するマクロ経済学では経済学者の間でも意見が一致しない場合が多いが、実はマクロ経済学に関する経済学者の見解も一般に思われているほど違っているわけではない。

大多数の経済学者は、短期では金融政策が景気の安定に寄与すると考えているが、長期的には金融政策は主に物価に影響すると考えている。日本では何故か金融政策無効論が強いが、これはローカルな現象で、世界的には金融政策無効論は少数派である。シカゴ大の調査では、日銀が異なった金融政策を・‥‥

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《令和6年4月21日(日) 第5回 救国シンクタンクセミナー自治体経営研究会》

 

◆開催日時:令和6年4月21日(日)14:00~17:45(13:30受付開始)

【場 所】TKP九段下神保町ビジネスセンター カンファレンスルーム3A
東京都千代田区神田神保町3-4柳川ビル
【主 催】一般社団法人救国シンクタンク
【テーマ・講 師】

「歳出改革基礎と各自治体における持続可能な行政条例」
渡瀬裕哉 救国シンクタンク研究員
自治体において歳出改革を行うためには、どのような項目に着目するとよいのか、歳出改革の基礎を解説し、具体的事例とともに、持続可能な自治体財政の在り方について解説いたします。

また、地方自治体の議員が議会において行政が執行する予算をしっかりと監視し、議会での質問や調査に役立てることができるようなモデル案を提示します。
【プログラム】
受 付:13:30
開 会:14:00 挨拶、事務連絡
・ショートトピック

・第一部 :14:20~15:35 「歳出改革基礎」 質疑15分

・休 憩 :15:35~15:45

・活動報告:15:45~16:00 地方議員の活動成果報告

・第二部 :16:00~17:15 「具体的事例の行財政条例解説」 質疑15分
・閉 会 :17:30 セミナーの後に懇親会を予定しております。
◆参加申込(Peatixにて受付いたします)

お申込みURL:https://peatix.com/event/3863697

・地方自治体【首長・議員】(参加費20,000円)

・立候補予定者、一般アクティビスト(参加費5,000円)

 

本セミナーは、地方自治体の首長・議員・立候補予定者の方々を対象にしておりますが、アクティビスト志望の会員様やそれ以外の一般の方もご参加いただけます。

 

減税や規制改革、事務事業評価、安全保障などに取り組んでいる「首長・地方議員・立候補予定者」をご存じの方は、ぜひこのセミナーをご紹介ください。

 

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《オンライン公開研究会のお知らせ》

2月8日(木)にオンライン研究会を実施しました!

◆救国シンクタンク ライブ「2024年アメリカ大統領選挙について」

倉山満 江崎道朗 渡瀬裕哉 柿埜真吾 内藤陽介【チャンネルくらら】

次回のオンライン研究会は、2024年3月14日(木)18時からです!

お楽しみにお待ちください!

 

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救国シンクタンク“日本の未来を考える”シリーズの第五弾。第一部では「皇位継承問題とは何か」を學館大学 現代日本社会学部教授、新田均氏が、「皇位継承問題と政治」については産経新聞社 論説委員長、榊原智氏が、「後花園天皇と伏見宮家」というテーマで国際日本文化研究センター 名誉教授渡今谷明氏が、「旧皇族の男系男子孫の皇籍取得は憲法第十四条違反なのか」と題して弁護士、山本直道氏が、そして「秋篠宮家の現在と未来」を皇室評論家の髙清水有子氏がそれぞれの知見を持って論じる。第二部では倉山満氏をモデレーターに、それらの専門家が皇位継承問題について白熱したクロストークセッションを展開する。

皇位継承問題について、専門家たちが描き出す今を表した必読の書。

《令和5年7月30日(日)第7回フォーラム「皇位継承問題」》

救国シンクタンク第7回フォーラム「皇位継承問題」ダイジェスト

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《米国共和党保守派【翻訳叢書プロジェクト】出版費用支援のお願い》

救国シンクタンクではこのたび、ニュート・ギングリッチ元連邦下院議長の最新著作

『Defeating Big Government Socialism: Saving America’s Future』と、グローバー・ノーキスト全米税制改革協議会議長の著作『Leave Us Alone: Getting the Government’s Hands Off Our Money, Our Guns, Our Lives』の〈救国シンクタンク叢書〉としての翻訳本出版にあたり、会員の皆様にご寄付をお願いしたところ、大変多くのご支援を賜ることができました。誠にありがとうございます。心より感謝申し上げます。

【重要】翻訳プロジェクトに関する報告・自治体経営セミナー開催決定!【救国シンクタンク】https://youtu.be/1TpNv8USXkg

翻訳叢書プロジェクトにご支援いただく際は、ぜひ事務局までご連絡をお願い致します。

◆お問い合わせ先:info@kyuukoku.com

 

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《救国シンクタンク叢書 第4弾『大国のハイブリッドストラグルII: 大国の衰退と台頭がもたらす地域紛争』》

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いよいよ新発売!レジ袋有料化「義務化」は嘘だった!? 救国シンクタンク叢書『なぜレジ袋は「有料化」されたのか』 内藤陽介 渡瀬裕哉

 

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