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内藤陽介の「メルマガで世界を読む」第77回「イラン情勢に関する雑感:先例としての1978-79年との比較を踏まえて」
◆◆ 救国シンクタンクメールマガジン 2026/01/16号 ◆◆
2025年12月28日、経済的な苦境を理由に始まったイランの大規模反政府抗議行動は、本稿執筆時点(1月15日)で、全31州に拡大し、当局の弾圧による死傷者数が急激に増加し、国際社会の警戒が最高レベルに達しています。
今回の抗議行動は、1979年のイスラム革命以来、最大規模のもので、参加者は最高指導者アリ・ハメネイ師の退陣や亡命中のレザー・パフラヴィー元皇太子の帰国を求め、モスク・銀行・政府施設への攻撃も報告されているなど、イスラム共和国体制は最大の危機を迎えているといってよいでしょう。ただし、現時点では、体制側の抑圧機構である革命防衛隊などはほぼ従前どおりの規模を維持しており、イスラム共和国体制が崩壊するにしても相応の時間がかかるのではないかと思われます。
イスラム共和国体制下のイランでは、これまでにも幾度か大規模な抗議行動が発生してきました。記憶に新しいところでは、2022年9月13日、ヘジャブの被り方が不十分として、クルド系イラン人女性のマフサ・アミーニーが道徳警察に逮捕され、同16日に死亡した事件をきっかけに大規模抗議行動が発生しましたが、最終的に抑え込まれてしまいました。2022年の抗議行動も、イラン経済が低迷する中で、イスラム共和国体制下での宗教規範の息苦しさと腐敗の蔓延に対して、自由と(西洋近代的な意味での)人権が大きく制約されていることへの不満が爆発し、「ムッラー(イスラム法学者、モスクでのリーダー格の人物)は消えろ」、「イスラム共和国なんかいらない」、「最高指導者に死を」などのスローガンが連呼されたという点では、現在の抗議行動と同様です。
ただし、2022年の抗議行動の際は、シーア派法学者としてアーヤトッラーの称号を持ち、ハメネイ(1939年生まれで、現在86歳)の後継候補として有力視されていたライースィーが大統領であったことに加え、イランの核開発も公然の秘密として進行しており、体制側はそれなりに権威を保っていました。
しかし、ライースィーが2024年5月にヘリコプターの墜落事故で亡くなったことでハメネイの後継問題が白紙に戻ったことに加え(ライースィーの後継となった現大統領のペゼシュキヤーンはシーア派法学者ではないため、イスラム共和国の最高指導者の資格をもちません)、現政権は、2023年に始まるガザ紛争を通じて、ハマスやヒズボラなどへの支援を大幅に縮小したほか、昨年6月にはいわゆる“12日間戦争”で核開発を事実上断念せざるを得ない状況となっており、体制の基盤が2022年に比べて弱体化しています。
さらに、今回の抗議行動は、グランドバザールの商人たちが、為替の急変動を受けて店を閉め、市場安定化の介入を政府に求めたことが発端になっているのも重要な相違点です。
イランのバザール商人は、誤解を恐れずにあえて単純化するなら、わが国で自民党を‥‥
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