◆◆救国シンクタンクメールマガジン 24/06/03号◆◆
2024年5月20日、台湾の頼清徳新総統就任式に出席する栄を得ました。今回は新総統の就任演説における両岸関係の位置づけ、演説に対する中国政府の反応、そして5月23、24日に台湾周辺で実施された人民解放軍の大規模演習の意図するところについて 述べてみたいと思います。
就任式当日、厳しい警備と交通統制のために総統府周辺は大渋滞となり、やむなく付近で車を降り、会場へは徒歩で向かいました。9時過ぎに着席した直後に、総統府建物内で行われた新総統、副総統の就任式の模様が大スクリーンに映し出されました。そして台湾軍儀仗兵の一糸乱れぬ演技の後、蔡英文前総統、頼清徳新総統、蕭美琴新副総統がイベント会場に登場。前総統が会場の人々に手を振りながら退場し、「台湾タペストリー」と銘打った様々なパフォーマンスが繰り広げられました。
新総統の就任演説が始まったのは午前11時頃です。演説を聞きながら、事前に配られた日本語のトランスクリプトを追いかけました。私の関心は、両岸関係に関する新総統の施政方針です。第一印象は、「現状維持」という前政権の方針を受け継いでいるということでした。
頼総統は「4つの堅持」(注1)に基づき現状維持に取り組むとし、中国に言論での威嚇や武力挑発をやめ、「中国が中華民国の存在事実を直視し、台湾人民の選択を尊重するよう」呼びかけました。続けて「中国の提案を全面的に受入れ主権を放棄したとしても、中国の台湾併合の企みは消えることはない」ことを理解すべきだと台湾の人々に訴えました。そして、中華民国憲法は中華民国の主権は中華民国の国籍を有する国民に帰属していると定めており、「中華民国と中華人民共和国は互いに隷属していない」と結びました。
これらの表現は、これまで蔡英文総統が様々な場で発言してきた内容であり、「4つの堅持」の内容そのものなのですが、「中華民国」、「中華民国台湾」、「中華人民共和国」、「中国」と両岸の違いを際立たせ、「中国の台湾併合の企みは消えない」とか、「互いに隷属していない」という言葉を連発して自らの方針を強調しているのはさすがに刺激的だと感じました。
案の定、演説からわずか約5時間後に‥‥
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今回のメルマガでは台湾の頼清徳新総統就任式に出席した小野田治客員研究員が就任演説における両岸関係の位置づけ、演説に対する中国政府の反応、そして5月23、24日に台湾周辺で実施された人民解放軍の大規模演習の意図するところについて解説しています。
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