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小野田 治【 救国シンクタンクメルマガ寄稿 #39】中国の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射試験の意味

小野田 治【 救国シンクタンクメルマガ寄稿 #39】中国の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射試験の意味

◆◆ 救国シンクタンクメールマガジン 26/07/23号 ◆◆

 

7月6日、中国人民解放軍海軍の戦略原子力潜水艦が海南島の近海から弾道ミサイルを発射し、南太平洋のツバル西方の公海に着弾させました。中国のメディアなどによれば、模擬訓練用のダミー弾頭を搭載した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)は海中から発射されて約7,000km先の目標海域に正確に着弾したとされています。今回は、他国の非難を招く長距離弾道ミサイル発射試験をあえて行った中国の意図を考えます。

 

中国が、海洋におけるSLBMの試験発射を初めて行ったのは1982年10月です。中国初のSLBM「巨浪1号(JL-1)」が山東半島沖の海中から発射され渤海に着弾しました。今回の発射は実に44年ぶりとなります。一方、地上発射弾道ミサイル(ICBM)については、1980年に「東風5号(DF-5)」が大陸から南太平洋に初めて発射され、2年前の2024年9月に、「東風31号(DF-31)」が海南島付近から仏領ポリネシア近海の公海に向けて発射されました。こちらも44年ぶりのことでした。

 

中国政府は、この試験発射は「人民解放軍海軍の年次訓練における定例的な措置」と説明し、「国際法および国際慣行に準​​拠しており、特定の国や標的を狙ったものではない」と述べました。また、関係国には事前に通知済みであったことをもって「中国軍の開放性と透明性」を強調しました。さらに、外交部はミサイル発射について「過度に解釈しないよう」促しました。

 

これに対して日本政府は、事前通報は発射の30分前であったことを明らかにし、中国の軍事活動が活発化していることへの深刻な懸念と、弾道ミサイルの発射訓練が我が国上空を通過するなど、我が国の安全を脅かすことがないよう中国政府に強く再考を求めました。米国政府は、米国が核拡散防止に従来以上に尽力しているなかで中国は正反対の行動をとっていると指摘し、中国の急速かつ不透明な核兵器増強が地域および世界にとって大きな懸念事項だと非難しました。台湾、オーストラリア、ニュージーランドも、「安定を損なう」などと同様の懸念を表明しました。

 

中国があえてこの時期に弾道ミサイルの発射試験を行ったのはなぜでしょうか。

一見すると中国は、米国を含む周辺諸国に対して力を示して戦略的メッセージを送ろうとしたとように見えます。例えば、米国に対しては、台湾に対する軍事支援へのけん制、日本に対しては「新型軍国主義」に基づく防衛力増強へのけん制、フィリピンに対しては米の中距離ミサイル配備へのけん制などと考えることもできるでしょう。オーストラリアでは発射と同じ日に署名されたフィジーとの防衛条約に対するけん制だとする分析がありました。

 

しかし筆者はこうした政治的な目的が込められた戦略的なメッセージである可能性は低いのではないかと考えます・・・・

 

 

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