◆◆救国シンクタンクメールマガジン 2024/6/17号◆◆
5月29日に南アフリカ共和国(以下、南ア)で行われた総選挙(下院、定数400、任期5年)は、故ネルソン・マンデラ大統領以来の与党“アフリカ民族会議(ANC:African National Congress)”は159議席(改選前から71議席減)で第一党を維持したものの、1994年の民主化以降初めて過半数を割り込んだものの、ANCを中心とした連立政権が成立し、6月14日の国会での投票で、シリル・ラマポーザ大統領の続投が決まりました。
ANC凋落の原因の一端は、深刻な政治腐敗にあります。
1999年、マンデラ政権の副大統領だったタボ・ムベキが大統領となり、下院議員のジェイコブ・ズマが副大統領に就任しますが、2005年、ズマは汚職疑惑で副大統領職を罷免され、下院議員も失職。さらに、ズマは汚職容疑のほか、レイプ容疑で起訴されるたものの、無罪判決を受け、2007年12月に58年ぶりに行われたANC議長選挙で現職のムベキを抑えて当選しました。
2009年4月の国民議会選挙ではANCが圧勝したため、同年5月、ズマは大統領に選出されますが、その後も、彼をめぐる汚職の疑惑は払拭されず、2014年3月19日、南アの公的権力監視機関は、ズマがみずから所有する邸宅に、巨額の公費を投じて「警備対策」の名目で、プールや来客用住居、円形劇場、鶏舎、家畜用のおり、プライベートの医療施設などを建設していたと発表。それにもかかわらず、2014年5月9日の総選挙ではズマが率いるANCが62%を得て圧勝し、ズマは大統領として再選を果たしました。
その後もズマの汚職疑惑は取り沙汰され続け、2017年8月8日に議会で行われた不信任決議案の採決は否決されたものの、野党の151議席を大幅に上回る177票の賛成票が投じられるなど、与党からも多くの造反が出ました。結局、2018年2月13日、ANCの最高意思決定機関である全国執行委員会はズマの罷免を決定。翌14日、ズマは大統領を辞任し、3月16日、インド系財閥のグプタ家との癒着など16件の罪で起訴されました。
2021年6月、ズマは汚職疑惑をめぐる調査委員会への出席を求める司法命令に応じていなかったことを理由に法廷侮辱罪に問われ、同年7月に収監されましたが、ズマを支持するズールー人が大規模な抗議行動を起こし9月5日、ズマは治療目的での仮釈放が許可されます。
一方、ズマの後継大統領となったラマポーザについても不正資金疑惑が浮上‥‥
今回のメルマガでは、5月29日に南アフリカ共和国で行われた総選挙について内藤陽介研究員が解説しています。
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(文責:事務局)