◆◆救国シンクタンクメールマガジン 24/04/10号◆◆
情報史学研究家の江崎道朗です。
今回から臨時でメルマガを書くことになりました。
今回のテーマは「有事対応と自衛隊員の戦傷医療」です。
岸田政権が2022年12月に閣議決定した安保三文書の特徴の一つが、国家として有事対応を進めることを明示したことです。外国との紛争、戦争が起こることを前提に国家として必要な準備を整えことを決断したのです。
具体的には国家安全保障戦略に「有事も念頭に置いた我が国国内での対応能力の強化」という項目が新設されました。
この国家安全保障戦略のもとで岸田政権は今回、「防衛計画の大綱」に代わって国家防衛戦略を策定しました。この国家防衛戦略の策定は戦後初めてのことです。
その背景、策定意図は以下のように説明されています。
《戦後、最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くためには、その厳しい現実に正面から向き合って、相手の能力と新しい戦い方に着目した防衛力の抜本的強化を行う必要がある。こうした防衛力の抜本的強化とともに国力を総合した国全体の防衛体制の強化を、戦略的発想を持って一体として実施することこそが、我が国の抑止力を高め、日米同盟をより一層強化していく道であり、また、同志国等との安全保障協力の礎となるものである。
特に、本年、米国は、新たな国家防衛戦略を策定したところであり、地域の平和と安定に大きな責任を有する日米両国がそれぞれの戦略を擦り合わせ、防衛協力を統合的に進めていくことは時宜にかなう。
こうした認識の下、政府は、1976年以降6回策定してきた自衛隊を中核とした防衛力の整備、維持及び運用の基本的指針である防衛計画の大綱に代わって、我が国の防衛目標、防衛目標を達成するためのアプローチ及びその手段を包括的に示すため、「国家防衛戦略」を策定する。》
行政文書というのは分かりにくいので、少し解説をします。
戦後、特に三木武夫内閣のときに防衛庁のもとで「防衛計画の大綱」を策定し、自衛隊を中心として防衛力整備を進めてきました。しかし、自衛隊を強化するだけでは日本の安全を守ることはできません。
外交、インテリジェンス、経済と連携していかなければ、日本の平和と安全を守ることはできない。そうした観点から第二次安倍政権の2013年に国家安全保障戦略を策定したわけです。
だが、この国家安全保障戦略のもとで防衛力を強化しようとしてきたのですが、サイバーであれば官邸、警察、総務省、経産省なども関係してくるため、自衛隊のサイバー部隊だけを強化するだけでは不十分であることが分かってきたのです。
しかし、防衛省主導の「防衛計画の大綱」では、他の省庁のことをあれこれと書くわけにはいきません。他の省庁との連携についても防衛省があれこれと書くわけにはいきません。そこで官邸の国家安全保障会議が今回、他の省庁にかかわる防衛体制の強化、それもどのような手段でそれを実施するのか、明確に提示することにしたわけです。
しかもこの国家防衛戦略では、有事対応の一つとして「Ⅷ 防衛力の中核である自衛隊員の能力を発揮するための基盤の強化」という章を立て、「2 衛生機能の変革」として戦争に伴う負傷者対応を強化する方針を以下のように明記しました。
《自衛隊衛生については、これまで自衛隊員の壮健性の維持を重視してきたが、持続性・強靱性の観点から、有事において危険を顧みずに任務を遂行する隊員の生命・身体を救う組織に変革する。
このため、各種事態への対処や国内外における多様な任務に対応し得るよう、各自衛隊で共通する衛生機能等を一元化して統合的な運用を推進するとともに、防衛医科大学校も含めた自衛隊衛生の総力を結集できる態勢を構築し、戦傷医療能力向上のための抜本的改革を推進する。
この際、南西地域の第一線から本州等の後送先病院までの役割の明確化を図った上で、第一線から後送先病院までのシームレスな医療・後送態勢を確立し、後送に係る衛生資器材の共通化を図るとともに、医療・後送に際して必要となる医療情報を第一線を含む全国の医療拠点・施設で共有するシステムを整備する。また、部隊の救護能力の強化、外傷医療に不可欠な血液・酸素を含む衛生資器材の確保、南西地域の医療拠点の整備も行う。
さらに、防衛医科大学校での戦傷医療についての教育研究の強化を進めるとともに、医官及び看護官の臨床経験をより充実させるために必要な運営改善を進める。また、積極的な部外研修によって医官及び看護官の臨床経験を補完する。その上で、戦傷医療についての統合教育・訓練を通じ各自衛隊共通の知識・技能の向上を図る。》
要はこれまで自衛隊の衛生・医療は、自衛隊員の壮健性の維持を重視してきましたが、今後は、有事になって自衛隊員が負傷したりすることを念頭に《有事において危険を顧みずに任務を遂行する隊員の生命・身体を救う組織に変革する》としたわけです。
平時の医療から有事、戦争による負傷者を救うための医療へと、自衛隊の医療体制を変革しようというのです。これは戦後の自衛隊医療を根幹から転換させることを意味します。
全国各地の自衛隊基地にある自衛隊病院も近年は地元対策の一環で、地元の方々が使う病院という位置づけを強めてきました。当然、その治療内容も内科、小児科、外科など他の病院と変わらない医療サービスを提供してきたわけです。
しかし、有事、戦争による負傷となれば、その損傷の具合も治療のあり方も全く異なります。そこで‥‥
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