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内藤陽介の「メルマガで世界を読む」第12回「モスクワのテロとタジキスタン」

◆◆救国シンクタンクメールマガジン 2024/3/25号◆◆
3月22日、ロシア・モスクワ北西郊外のコンサート会場“クロッカス・シティー・ホール”に武装グループが侵入して銃を乱射しました。その後、会場では火災が発生し、少なくとも133人の死亡が確認されています。
この事件では、翌23日、過激派組織“イスラム国(IS)”が犯行声明を出しており、ロシア連邦保安局(FSB)は、実行犯は6人(うち4人はタジキスタン国籍)で、すでに実行4人を含む11人を拘束したと発表しました。
今回のテロ事件に関連して、タジキスタン政府はロシアとの悲しみと連帯を表明しており、タジキスタンが国家としてテロを支援しているわけではないのですが、旧ソ連諸国の最貧国(2023年の名目GDPの国際ランキングでは145位)でムスリムが人口の9割以上を占めるタジキスタンでは、イスラム過激派組織に“就職”する者が少なくありません。
ちなみに、本稿執筆の時点で、タジキスタン政府は、①アル・カーイダ(AQ)、②東トルキスタン・イスラム運動、③トルキスタン・イスラム党(旧ウズベキスタン・イスラム運動)、④タリバン、⑤ムスリム同胞団、⑥ラシカル・エ・タイバ、⑦ジャマート・イ・イスラミ・パキスタン)、⑧ジャマート・タブリゴット、⑨自由タジキスタン、⑩ヒズブット・タフリール、⑪ジャモアット・アンサルロー、⑫サラフィー、⑬グループ24、⑭イスラム国(IS)、⑮ヌスラ戦線、⑯イスラム復興党、⑰タジキスタン国民同盟(PMT)の17団体をテロ組織に指定しています。
このうち、今回のテロ事件の犯行声明を出したISについては、タジキスタン当局は、2014年から2019年にかけてタジキスタン出身者の約2000名がISに参加したと推計しており、その中には、2015年5月にシリアに渡航してISに参加した元内務省特殊部隊(OMON)の元司令官、ハリモフのような人物もいます。タジキスタン当局としては、彼らが帰国して、タジキスタン国内でテロ・誘拐事件等を起こすことともに、彼らが世界各地でテロ事件を起こすことを警戒してきました。
IS系の組織として、2015年1月、イラン東部からアフガニスタン、パキスタン、トルクメニスタンにまたがる地域を対象として、既存の国際秩序を否定して新たなイスラム国家の樹立を目指すとする“イスラム国ホラーサーン州(ISK)”が設立されています。彼らは、2018年7月にはダンガラ郡(ドゥシャンベの南東約100km)で外国人観光客7名を襲撃する事件を起こしたほか、2019年5月にはヴァフダト郡(ドゥシャンベの東方約15km)でISに参加した罪で服役中の囚人約30名が暴動を起こし、看守3名及び囚人29名が殺害される事案が発生。また、同年11月には20名ほどの武装集団が、ウズベキスタンとの国境にある警備ポストを襲撃する事件を起こしています。
さらに、ことし(2024年)1月には、イラン南部のケルマーンで革命防衛隊の元司令官、ガーセム・ソレイマーニーの没後4周年の式典を狙ったテロ事件が発生し、ISKが犯行声明を出しましたが、その実行犯もタジク人でした。
タジキスタンにとっては、ISKをはじめとする中央アジア地域でのイスラム過激派のテロ活動を抑え込むうえで、ロシアの全面的な協力が不可欠でした。ところが、2022年のウクライナへの全面侵攻後、ロシアは中央アジアでのイスラム過激派のテロに対応する余裕をなくしており、この点で‥‥
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