柿埜真吾メルマガ:第69回〈高く評価できるアルゼンチンの経済改革〉

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◆◆救国シンクタンクメールマガジン 2024/02/18号◆◆

アルゼンチンのミレイ大統領の経済政策については、以前のメルマガ(「アルゼンチンのドル化は無謀か」)でも好意的に取り上げたが、就任から2か月のミレイ大統領の行動力は驚くべきものがある。公約通り、就任後ただちに省庁を再編して省を18から9に削減し、実質公的支出も30%もカットした。闇レートに比べて大幅に割高だった公定為替レートを直ちに54%切り下げ、輸入制限や価格統制を撤廃したのも好ましい措置である。国営企業の民営化を矢継ぎ早に発表し、既に300項目以上の規制撤廃を進める大統領令を出しているというから驚きである。大統領派が議会内で少数派である点は懸念材料だったが、マクリ元大統領等の有力者の支持獲得に成功し、議会でも規制改革法案を通過させている。

IMFも2月1日に発表したアルゼンチンへの追加金融支援に関する報告の中で、ミレイ氏の改革を大胆な措置として肯定的に評価している。ミレイ氏はしばしば「ポピュリスト」と呼ばれているが、「ポピュリスト」というのが反グローバリズムを叫んで国際機関と無意味に対立し、社会主義的なばらまきで人気取りをする政治家を指すなら、ミレイ氏がやっていることは今のところポピュリストとは正反対である。むしろミレイ政権以前のアルゼンチン政府こそまさにポピュリストだった。現在の200%を超える異常なインフレや貧困の蔓延は、前政権の負の遺産といえるものである。アルゼンチンの経済危機を克服するためのミレイ政権の処方箋は長年にわたってIMFや外部の専門家の求めてきたものと基本的に同一の政策である。中絶禁止等の社会政策に関するミレイ氏の公約には議論の余地があり筆者は必ずしも賛成しないが、経済政策に関するミレイ氏の公約は正統的なものであり、今のところの実績は高い評価に値する。ミレイ氏は経済学者出身だけあって、規制改革や歳出削減の重要性をよく理解している。当選前のミレイ氏をめぐってはエキセントリックな言動ばかりが面白おかしく報じられていたが、ミレイ氏の提案はフリードマンの『資本主義と自由』やマンキューの標準的教科書を読んだ経済学部生には馴染みのあるものばかりだろう。

確かに一部では大きな反発もあるようだが、ミレイ大統領への批判には誤解も多い。例えば弱者切り捨てとの批判もあるが、ミレイ氏は、産業政策やエネルギー補助金等の無駄な支出を容赦なくカットする一方、実際に支援が必要な真の貧困家庭に対しては支援をむしろ強化する方針である。弱肉強食の弱者切り捨てといった紋切り型な批判は当てはまらない。

緊縮政策の度が過ぎるのでないかと懸念する向きもあるが、アルゼンチンの状況は日本等の先進国とは全く違う。極端な総需要超過でインフレ率が200%を超えている国に2%近傍のインフレの日本などとは違ったタイプの政策が必要なのは当たり前である。

ミレイ大統領は増税より歳出削減を中心に財政再建を進めようとしているが、これも適切である。ハーバード大のアレシナ教授らの研究では、社会保障改革などの歳出削減を中心にした財政再建は成功する可能性が高く、短期的な経済への打撃も小さく、長期的には成長につながることがわかっている。ミレイ大統領の改革はこの線に沿ったものである。

ミレイ氏の経済政策の公約で議論の余地があるのは中央銀行を廃止してドル化するという政策だが、ドル化は一部のメディアが報じるようなエキセントリックな暴論などではない。以前のメルマガで説明したように、

 

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《令和6年2月25日(日) 第4回 救国シンクタンクセミナー自治体経営研究会》

参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=yaHQsOZboTQ&t=600s

 

◆開催日時:令和6年2月25日(日)14:00~17:45(13:30受付開始)

◆会 場 :東京都千代田区

◆主 催 :一般社団法人救国シンクタンク

◆講師:渡瀬裕哉研究員、小川清史客員研究員

◆プログラム(変更する場合がございます)

受 付:13:30

開 会:14:00 挨拶、事務連絡

第一部:誰でも簡単に活かせる地方自治体の世論調査の見方・やり方・使い方

第二部:国民保護について

閉 会:17:45

◆参加申込(Peatixにて受付いたします)

お申込みURL:https://peatix.com/event/3785408

・地方自治体【首長・議員】(参加費20,000円)

・立候補予定者、一般アクティビスト(参加費5,000円)

セミナーの後に懇親会を予定しております。懇親会のご案内は別途お知らせいたします。

セミナーへの参加対象者は、地方自治体の首長・議員・立候補予定者の方々を対象にしておりますが、アクティビスト志望の会員様やそれ以外の一般の方もご参加いただけます。

減税や規制改革、事務事業評価、安全保障などに取り組んでいる「首長・地方議員・立候補予定者」をご存じの方は、ぜひこのセミナーをご紹介ください。

 

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《オンライン公開研究会のお知らせ》

2月8日(木)にオンライン研究会を実施しました!

◆救国シンクタンク ライブ「2024年アメリカ大統領選挙について」

倉山満 江崎道朗 渡瀬裕哉 柿埜真吾 内藤陽介【チャンネルくらら】

次回のオンライン研究会は、2024年3月14日(木)18時からです!

お楽しみにお待ちください!

 

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《救国シンクタンク叢書 第5弾『皇位継承問題』》

Amazon.co.jp: 救国シンクタンク叢書 皇位継承問題 : 救国シンクタンク: 本
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救国シンクタンク“日本の未来を考える”シリーズの第五弾。第一部では「皇位継承問題とは何か」を學館大学 現代日本社会学部教授、新田均氏が、「皇位継承問題と政治」については産経新聞社 論説委員長、榊原智氏が、「後花園天皇と伏見宮家」というテーマで国際日本文化研究センター 名誉教授渡今谷明氏が、「旧皇族の男系男子孫の皇籍取得は憲法第十四条違反なのか」と題して弁護士、山本直道氏が、そして「秋篠宮家の現在と未来」を皇室評論家の髙清水有子氏がそれぞれの知見を持って論じる。第二部では倉山満氏をモデレーターに、それらの専門家が皇位継承問題について白熱したクロストークセッションを展開する。

皇位継承問題について、専門家たちが描き出す今を表した必読の書。

《令和5年7月30日(日)第7回フォーラム「皇位継承問題」》

救国シンクタンク第7回フォーラム「皇位継承問題」ダイジェスト

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《米国共和党保守派【翻訳叢書プロジェクト】出版費用支援のお願い》

救国シンクタンクではこのたび、ニュート・ギングリッチ元連邦下院議長の最新著作

『Defeating Big Government Socialism: Saving America’s Future』と、グローバー・ノーキスト全米税制改革協議会議長の著作『Leave Us Alone: Getting the Government’s Hands Off Our Money, Our Guns, Our Lives』の〈救国シンクタンク叢書〉としての翻訳本出版にあたり、会員の皆様にご寄付をお願いしたところ、大変多くのご支援を賜ることができました。誠にありがとうございます。心より感謝申し上げます。

【重要】翻訳プロジェクトに関する報告・自治体経営セミナー開催決定!【救国シンクタンク】https://youtu.be/1TpNv8USXkg

翻訳叢書プロジェクトにご支援いただく際は、ぜひ事務局までご連絡をお願い致します。

◆お問い合わせ先:info@kyuukoku.com

 

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《救国シンクタンク叢書 第4弾『大国のハイブリッドストラグルII: 大国の衰退と台頭がもたらす地域紛争』》

『大国のハイブリッドストラグルII: 大国の衰退と台頭がもたらす地域紛争』(2023年)

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救国シンクタンク第6回フォーラム「大国のハイブリッドストラグル2023新春 」

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《救国シンクタンク叢書 第3弾『なぜレジ袋は「有料化」されたのか』》

『なぜレジ袋は「有料化」されたのか』(2023年)

救国シンクタンク叢書 なぜレジ袋は「有料化」されたのか
「ほぼ毎日のペースで新たに増加する規制は、日本経済に目に見えないコストを課しています。それらの累計額は計り知れない規模になっていますが、日本政府はその全容を把握することなく、今日も制御基盤が壊れたマシーンのように新たな規制を作り続けています」。本書はそのような規制のうち、誰もが知っている「レジ袋の有料化」という規制につ...

いよいよ新発売!レジ袋有料化「義務化」は嘘だった!? 救国シンクタンク叢書『なぜレジ袋は「有料化」されたのか』 内藤陽介 渡瀬裕哉

 

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