◆◆救国シンクタンクメールマガジン 22/12/21号◆◆
評論家の江崎道朗です。
「なぜ民間シンクタンクが重要なのか」という観点から毎回、政治的課題について書いていこうと思います。
岸田政権が12月16日、国家安全保障会議及び閣議において国家安全保障戦略三文書を決定しました。
https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou.html
これから10年の日本の国家安全保障戦略の基本方針を示すこの文書の決定に際して、実に興味深い点が二つあったので、ここで確認したいと思います。
第一は、この防衛力強化に与党の公明党ばかりか、野党の日本維新の会、国民民主党も賛成したことです。
この閣議決定の前日12月15日(木)、参議院議員会館「講堂」にて「防衛力の抜本的強化を求める緊急集会」が開催されました。主催は実行委員会で、日本会議国会議員懇談会、美しい日本の憲法をつくる国民の会、日本会議の三つが共催です。
この会合では、各党を代表して以下の方々が挨拶をされました。
自民党 木原稔防衛力強化に関する与党のワーキングチーム事務局長
公明党 佐藤茂樹外交安全保障調査会長
日本維新の会 馬場伸幸代表
国民民主党 玉木雄一郎代表
そして、以下の要望書が各党代表に渡されました。
《防衛力の抜本的強化を求める要望書
「国家安全保障戦略」等の防衛3文書の改訂が間近となっている。岸田首相は防衛費のGDP比2%確保を指示し、今後5年間で43兆円の予算の確保を決断した。更に「反撃能力」の保有が記載されている。
こうした政府与党の決断は、我が国の国家意思の表明として評価できる。
そもそも防衛力の抜本的強化は、首相が国会で表明し、国際的にも日米、日豪首脳会談で表明するなど国内外の公約となっていた。
背景には、ロシアによるウクライナ侵略という国際環境の劇的な変化がある。北朝鮮は日米のミサイル防衛網の突破を画策し、今年だけでミサイル発射を30回以上行った。中国は台湾への武力統一を否定せず、台湾周辺の我が国排他的経済水域への弾道ミサイル発射など、挑発を繰り返している。
我が国はロシア、北朝鮮、中国という「力による現状変更」を企てる国に囲まれているにもかかわらず、防衛予算は過去50年GDP比1%の枠内に抑えられてきた。この間、中国の軍事費は30年間で約40倍へと突出し、日本に到達する能力を持つ弾道ミサイルは既に1900発を保有するに至った。3年後には、西太平洋での米国の軍事力を凌駕すると米国は危機感を抱く。
一方の自衛隊は武器弾薬の不足により継戦能力がなく、装備や設備の老朽化、防衛産業の撤退と技術開発の遅れが著しい。
欧米各国が国際情勢の変化に伴い応分の負担へと舵を切る中、日本にも自由で民主的な国際秩序維持のため、その責任を果たすことが世界から期待されている。
政府及び国会の各党においては、厳しい安全保障環境と日本に課せられた使命を念頭に、防衛力の抜本的強化のため、次の点に尽力されるよう求める。
一、我が国の独立と領土・領海・領空を守り抜き、「力による現状変更」は絶対許さないという日本の立場を内外に宣明すること。
一、デフレからの脱却がなされていない経済状況の中、5年以内の防衛費のGDP比2%以上を確実に達成するためには増税なき防衛力整備を目指すこと。
一、反撃能力の整備にあたっては、真に有効な抑止と対処の仕組みを構築すること。
一、領土・領海・領空の警備に隙間を作らないよう、自衛隊、警察、海上保安庁等の連携と対処能力を高めること。
一、宇宙、サイバー、電磁波など新たな領域での侵略への対処能力を向上させること。
一、国家安全保障の観点から、食糧、エネルギー、資源などの確保に努め、国民生活の維持に万全を期すこと。
一、自分の国は自分達で守るという自主国防の理念を明らかにするため、憲法に我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つ自衛隊の明文規定を置くことについて、国会で速やかな合意形成と発議をはかること。
右、要望する
令和四年十二月十五日
防衛力の抜本的強化を求める緊急集会実行委員会
日本会議国会議員懇談会・日本会議
美しい日本の憲法をつくる国民の会》
要するに、防衛力を抜本的に強化することに与党だけでなく、野党の維新の会、国民民主党も賛成したということです。しかもこの主催者によれば…
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今回のメルマガは、岸田政権が国家安全保障会議及び閣議において国家安全保障戦略三文書を決定したことに対して、保守系は、防衛力の抜本強化のためにも経済成長が重要であり、そのために増税には反対だとの論調を打ち出したことについて、江崎道朗研究員が解説しています。
参議院議員会館「講堂」にて開催された「防衛力の抜本的強化を求める緊急集会」は、YouTubeにてご視聴いただけます。
江崎道朗研究員が締めの挨拶で、増税ではなく、経済成長で防衛費を捻出しようと思うならば、日本銀行の次期総裁は、若田部現副総裁にし、金融緩和を継続する、減税は安全保障だとの趣旨の発言をしています。
防衛力の抜本的強化を求める緊急集会(令和4年12月15日)
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